七ケ浜町は「生涯スポーツ振興」事業の一貫として、および2001年の国民体育大会サッカー競技(少年の部)の開催地の決定を受けてか七ケ浜サッカースタジアムを計画した。元来小中学生用のコート2面の大きさを確保し、オールシーズン使用可能な天然芝(寒地型芝草)の採用を設計条件とした。

ほぼ台形の敷地は、電力会社の灰捨場で深さ約20mの灰が堆積している。最終的な芝種の選定は、この灰の分析とフィールド面の地盤改良の検討を行い、スタジアム本体の施行期間を利用して多様な芝種、芝床の組み合わせによる試験施工を経て決定した。
サッカーフィールドは、長軸をほぼ南北軸とし、メインスタンド(982席)を西側、芝のサブスタンド(1,400席)を東側としている。メインスタンドは、最も競技の見せやすいセンターラインの位置に客席を多く配置し、避難を考慮した後部通路を円弧状のスロープと連続させている。また、メインスタンド下部の主要室(エントランスホール、本部室、会議室、放送室、審判控室等)は、全て木製建具のみで間仕切り、開放的な空間としている。さらに床面は、サッカー用スパイクの使用可能な仕上げとし、大会や練習時には、建具を開放して、選手のウォーミングアップスペースとして使用できるように計画した。この多目的利用が可能な空間と上部の観客席のレイアウトを重合させて、中心のふくらんだ弓型のプランを形成している。この上下2つの平面は15度傾けた列柱で支えられており、立面でも円弧を形成させて既存松林などの周囲の風景に馴染ませている。

3 月 1997
カテゴリー: スタジアム
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Shoichi Hariu