3月11日の大地震のあとの大津波はあっという間に全てのものをなぎ倒し、多くの人の命を瞬時に奪ってしまいました。津波の沖での発見・伝達・広報のシステムがもう 少し充実しており、迅速な避難がなされればほとんどの人が助かったともいわれております。想定外とも言われますが、実は私達がいかに歴史的な津波について勉強不足であったかということに尽きると考えております。地震発生から遺体捜索、ガレキ処理、避難所、救 援物資の配布、仮設住宅の建設・入居等の様々な 震災復旧の活動が行われて 4ヶ月が過ぎ、閖上地 区はきれいに片付けられて、無人の町と化してい ます。そんな中、私達閖上復興・まちづくりを考える会は4回の会合を持ち、皆で諸問題及びこれからの復興計画について語り合ってきました。今回これらを一度整理して、様々な意見に適応できる努力をしながら一つの案を作り、皆さんの意見を聞き入れながら充実させ、名取市長に対し被災住民の考えた復興案の一つとして提案するものです。

海のいぐね
松島町がその外海に浮かぶ多くの島により減災された点や、サンゴ礁やマングローブの林などが津波の減災に有効とされていることから考察し、“海のいぐね”と呼ぶ多重の魚礁を提案します。仙台湾は海岸から3km沖までほぼ水深2 0mですが、ここに直径50mの魚礁を6 2.5m間隔で配置していきます。この漁 礁は海岸線と平行に250mおきに(間 3ヶ所)風力発電装置を設置し、脱原発の 主要エネルギーを目標とします。これを海 岸線から海へ向かって5列500m間隔に 配列します。これら多重の漁礁はまるでいぐね=屋敷林(防風林)が西北風を弱めるのと同じ様に津波を減災させます。このいぐねによって弱められた領域は獲る 漁業から転換した育てる漁業の一大生産地 を形成します。特に希少価値の高い高級魚 を扱い、活魚をはじめグルメへ提供し、更 に加工へと展開します。

陸の浮島

前提として、150台収容の楕円形状(海に向かって長軸が伸びる)の避難用駐車場ビルを“海のいぐね”により減災された津波に対して道路施設として適宜配置します(国の1/2補助)。これによって乗用車だけではなく500人以上の人が避難できます。今回の津波の高さを各位置でクリアする7mの高さの“陸の浮島”という人工台地を設けます。5層の“海のいぐね”による減衰に加えて、避難塔によって人々は安全に生業と文化を守る事ができます。浮島は、被災した10の町内会毎に計画さ れた10島から成り、住宅・集合住宅・医療福 祉施設・集会所・小中学校・店舗・オフィス・ 工房・社寺等が適宜分散配置されます。更に広 場・露地・小広場・緑地・樹木等のオープンス ペースが設けられ、歩く人間の為のまちが創ら れます。この浮島へは適宜階段、スロープ、エレベータ が設けられ、少なくとも東西南北4方向からの アプローチが設けられます。スラブ下にライフラインがしっかりと装備され、自家発電装置も含めて災害時を乗り切る仕組みとします。

ピロティ部分は完全密封防水の空間とし、LED光源による溶液栽培の野菜植物工場とします。世界の高級野菜ブランドを目指し、その加工や料理の開発、提供も行います。また、特に養蚕にも取組み、シルクの先端的開発も行います。このように海陸での食のブランド 生産を基軸とし、名取閖上を世界 のグルメのメッカとしたいと考え ています。研究所、専門学校、レストランそ の他、食のブランド生産への取り 組みがまち起こしの基点になりま す。

7 月 2012
カテゴリー: 福祉
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Shoichi Hariu