仙台基督教育児院は乳幼児から高校生までの養護施設を運営する社会福祉法人である。創設以来90年の歴史をもち、小舎制による小グループの養護を理念としている。1991年にそれまでの活動を基盤にし「丘の家2000総合福祉むら基本計画」を策定し、福祉の対象を高齢者層まで広げた。本施設はその第一段階である。

敷地は仙台市の中心部に近い住宅地であるが、周辺は沼地や林が散在する自然に恵まれた地域である。敷地は高低差20mのやや急な扇状地形をしている。既存の広場を残すため斜面に施設をコンパクトに配置する必要があり3階建てとした。そして敷地の高低差を利用して、市道と同じレベルの3階に主入口を設けた。
計画のコンセプトは以下の3つを柱としている。

1. 内外に開放的な施設とする:居室周りでは壁を出来るだけ少なくし、良好な眺望を確保している。また、中庭は最高・通風を確保するとともに、上下階の見通しも良くし、入居者とスタッフの相互の視覚的なコミュニケーションを可能にしている。
2. ノーマライゼーションを目標とし、日常に近い生活空間の実現:居室は個室を目標としているが、多様な対応が出来るように「懸呑式間仕切り」を使用している。
3. バリアフリーを前提とする:段差をなくし、主要な出入口にはコーナー面木を取り付ける等の配慮を行った。

外部空間では、斜面に対してRC擁壁は設けず、植栽された法面とし、敷地の原風景が残る優しい、柔らかな「際空間」を残すように工夫した。

3 月 1993
カテゴリー: 福祉
SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園SHAA - シオンの園
Shoichi Hariu