この施設では、市民が参加して施設の運営プログラムの綿密な設定が行われていた。その中でこの施設を山登りの「ベースキャンプ」として捉え、「開かれた福祉のベースキャンプ」を目指すことを目標とした。

1、 利用者が入りやすく、親しみやすい、開かれた空間構成
2、 ノーマライゼーションの実現を目指した複合施設の確立。
3、 隣接の老人保健施設との共存と、機能や特性に応じたそれぞれのアイデンティティ、およびそれらを結合する共有空間にアクティビティを持たせる。
4、 敷地全体を一つの公園とみなし、植栽・屋上緑化を行う。また、通風、採光を考慮したエコロジカルな計画とする。

全体計画としては、近隣との景観の調和を考慮して施設を分節化させている。共有空間を連続させることにより、図と地の入り組んだ構成とし、シークエンスの多用な効果を狙った。また、近隣の老人保健施設と隣り合う形でデイサービスセンターを配置し、複合施設としての利用性を高めている。そして、それぞれのゾーンを結合するコモンスペースは、エントランスホール、多世代交流ホール、デイサービスセンター及び中庭等から構成され、アクティビティの高い空間に想定している。多目的ホールは専門家のよって音響のシミュレーションも行っているが、利用者が操作しやすい計画とした。また、多用な利用法が望まれる中で楽屋室と和室の兼用、曲面の壁をギャラリーに、また多世代交流ホールではバーカウンターを設ける等の工夫をした。
実施設計に当って、市民代表を含む「在宅福祉の夢をかなえる30人委員会」との度重なるワークショップや、市内の既存施設でのヒアリングを行い参考とした。永く親しまれる空間として持続してほしいと願う。

1 月 1999
カテゴリー: 福祉
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Shoichi Hariu