建物は敷地全体の造成によって小高い丘で囲い、日常的な領域から婚礼という”ハレ”の領域への結界を表現するためである。この丘と池と木立によるランドスケープは、教会の形態と周辺環境との調和を図り、囲まれた空間の意味を浮かび上がらせている。新郎・新婦はまずアプローチコリドールに導かれて丘を抜け、池を渡り、教会内部にたどり着く。

この列柱は、建築本体に対して35度の角度を持って貫入し、礼拝堂へと向かう厳粛な気持ちに切り換える役割を担う。楕円形の平面の外壁は上方に向かって7度外側に傾きながら、躯体に対して450mmのスリットを設けた屋根が聖壇に向かってせり上がることで、礼拝堂の内部空間を高めている。礼拝堂は正面にスリットによる光の十字架を設けている。そして両側の大きな開口部は、外の風景を採り入れたり、池の反射光の揺らぎを壁面や天井に映し出す”淡い緊張感”のある空間を醸し出している。

10 月 1996
カテゴリー: 公共建築
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Shoichi Hariu